「私はダニエル・ブレイク」を観て、福祉と効率について考えた

「私はダニエル・ブレイク」を観た。昨年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞した作品。 監督であるケン・ローチは、社会の流れに翻弄される弱者の側に立った作品を描くが、「私はダニエル・ブレイク」にも「どんな人間も名前を持つ一人の人間だ」という強いメッセージを感じた。 本作は、医者からは就労を禁止されている心臓病持ちの老人が、(イギリス版の)ハローワークで、「就労可能」と認定されてしまうことから物語は始まる。 「就労可能」と認定されたからには、「求職活動」を行わなければ失業給付金がもらえない。だから、老人は街の工場を歩き回って履歴書を配り歩く。 けれども、医者からは就労を止められているから、実際は働く...

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読書メモ:「ルポ 児童相談所」

著者の慎泰俊さんから献本頂いたため、遅ればせながら読書メモを書いた。 ルポ 児童相談所: 一時保護所から考える子ども支援 (ちくま新書1233) ******  恥ずかしながら「一時保護所」についてあまり知らなかったので、とても勉強になった。一時保護所とは、「実家庭で暮らすことが最善ではない」と児童相談所に判断された子どもたちが、平均1ヶ月滞在する場所のこと。(その後、実家庭に戻れない場合、社会的養護や特別養子縁組を受けて、実親を離れ生活することになる。)  本書は、一時保護所の厳しい規律や、そこに滞在する子どもたちの精神的な不安定さについて、ルポ形式で描かれている。また、一時保護所にも「良い...

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不登校・中退と大学受験

今年も合格発表の時期が来た。 色々な生徒の合格報告が届く。会社が大きくなって僕と現場との距離はだいぶ離れてしまったけれども、それでも「キズキがなければ、引きこもりのままだった」という声を聞くたびに、明日も頑張ろうと思える。 ****** けれども、「〇〇大学に受かった」ということ自体は、社会全体にとってはプラスの意味もマイナスの意味もないと僕は思っている。 例えば、「慶應大学に受かった」というのは、塾の実績としては良いことかもしれない。 けれども社会全体で見れば、「A君が慶應大学に合格した分、B君は慶應大学に不合格になった」ということになる。 大学の合格者の枠が限られている以上、大学受験とは「...

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競合の登場と社会的意義

年明けから、弊社の社員向けに週報を書くことにした。 塾の校舎が代々木と秋葉原、行政から委託を受けている事業所が東新宿、中退予防のお手伝いをさせて頂いている専門学校・大学が全国にある中で、どうしても僕自身が現場と離れてしまっているからだ。 週報は毎週の経営課題の話が中心にしてるのだけれども、その中で僕個人の日々の雑感も書くことにしたので、ブログにもアップしておこうと思う。 ****** 安田です。みなさん、年末年始はいかがお過ごしでしたか? 33歳独身の年末年始は、友人たちと沖縄に行ったり大阪で天皇杯決勝を見に行ったりしていました。 そんな僕のプライベートの今年の目標は結婚です。 さて、今日の話...

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