人は弱い

今日は第二回山谷勉強会を開催した。 大学時代からの友人たちやその紹介などに加え、10人近く会社の同期が来てくれて、前回以上に盛り上がった。 詳細は、後々書く予定。   ****** 山谷の人々は、自らを「社会構造の被害者」だとする。 高度経済成長期が終わり、産業も高度化していく中で、取り残された人々だからだ。 不景気な時代、老齢の非熟練労働力を使いたがる企業なんてない。   しかし一方で、アルコール中毒で足元がおぼつかない人、賭け事でお金を使い果たす人、そういう人がいたとしても、彼らにとってそれは全て「社会のせい」である。 こんな世の中だから、酒でも飲まなければやっていけない、と。だから、政府...

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バンコクより

バンコクに来た。 ここはバングラデシュ、イスラエル・パレスチナ、に次ぐ自分の故郷だと言っても過言ではない。(ちなみに、三月も来ている・・・) いろいろなことを思い出した。   ****** 今ふりかえってみると、4月後半はうつ病の一歩手前だったような気がする。 自分の頭でちゃんと思考することができず、どこかがおかしかった。周りからも、そう見えていたように思う。 僕が今まで最も大切にしてきた「自由」という価値が、否定されてしまったように感じていたからかもしれない。   それは、たとえば9時から5時半まで会社にいなきゃいけない、とか、毎日スーツを着なきゃいけないとか、そういう種の「自由」だけではな...

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いい出会い

今日は友人の紹介で、アフリカ通の某大学の四年生の方に会っていた。 大学二年~三年の時にウガンダに留学、そして来月から大学を休学してフランス系アフリカ人が経営する投資会社のカメルーン事務所で働くとのこと・・・もちろん給料は出る。   弱冠21歳。   とはいえ生き急いでいる感は全くなく、ただ自らの問題意識に忠実に、かつ自由に行動しているように見えた。 問題意識に忠実に生きていくこと、自由に生きることは、一方でとてつもない努力を要求される。 問題意識を忠実に問い続けることは疲れるし、自由は時に人を孤独にさせるから。所属に代わる自己信頼を要求されるから。     負けてられないな、と思った。   *...

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ありたかった姿

NHKのプロフェッショナルで、アフガンやスーダンでDDR(Disarmament, Demobilization and Reintegration、紛争後の兵士の社会復帰プロセス)を担当していた瀬谷ルミ子さんが出演していた。http://ameblo.jp/seyarumi/ 実は4年前に瀬谷さんがアフガンから帰ってきた時、一度飲みに行ったことがある。(10人程度の飲み会だったので、もちろん僕のことは覚えていないだろうが笑) 次はスーダンでDDRのプロジェクトがある、とおっしゃっていたのを思い出した。   紛争の中で必死に自らの尊厳を守ろうとするスーダンの人々を見て、イスラエル・パレスチナ、...

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承認について

バングラデシュの娼婦街に初めて長期滞在したとき、一番仲良くなった女性であるSは、「私たちのことを忘れないで。また来て欲しい。」と言った。 僕はこの日を境に、3年間バングラデシュに通うことになった。   先月行った山谷勉強会の終了時、ホームレスの方々が「是非またやりましょう!」と嬉しそうに声をかけてくれた。 たくさんの人が集まって真剣に議論をして、「忘れた」わけじゃなくて、「知らない」だけなんだって伝えたかった。     人は誰かに褒められたかったり、愛されたかったり、喜んで欲しかったり、認めて欲しかったり・・・・・・そういうものによって生きているのだと思う。 忘れられてしまうことほど、怖いこと...

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開発だとか社会企業だとかの名のもとに

最近、日本でも社会企業という言葉があふれ始めている。 グラミンバンク、BRACなどに関する講演会に行くと、投資銀行や外資コンサルやらで働くいわゆるビジネス「エリート」たちの姿が目に付く。 「普段自分が行っている仕事が社会の役に立かもしれない」、そんな可能性を見出すことによって、必死に自尊心を保とうとしているようにさえ見える。   「開発」だとか「社会企業」だとかの名のもとに、自分たちの価値観を押し付ける。その押し付けがましさ、傲慢ぶりには、辟易とする。 現地語を話せるわけでもなければ、現地に長期間滞在したこともない、それどころか行ったこともない人さえいる・・・そういった人間たちが、自分の方が「...

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地方、農業に関するrandom thoughts

最近は日本の地方に関心がある。   貧乏だが尊厳が担保されているバングラデシュの農村と、そこそこ食えるがコミュニティから分断され尊厳が失われている(と当人たちが感じている)派遣の若者たちや山谷の労働者たち、どちらが幸せなのだろうかと去年から考えていた。そのためこの半年は、東京で映画の編集をしながら、ちょくちょく親戚や友人の住む地方都市を訪ね現状を聞きまわっていた。 その時は東京で孤独の中にいる底辺の人々が農村に帰るようなスキームがあればよい、と単純に考えており、農村で第一次産業に従事することは、それだけでセーフティネットにもなるとも考えたいた。 しかし調べていく中で分かったことは、地方もひどい...

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第一回山谷勉強会終了

山谷勉強会にお越しくださった皆様、ありがとうございました。 主にブログ上で簡単に告知しただけだったのですが、たくさんの人に来ていただくことができて、嬉しい限りです。 国内の貧困問題に対する関心の高まりを感じました。   また上映映画の音声が聞こえづらかった件、大変申し訳ございませんでした。 これは、僕の完全な準備不足です・・・事前に映画の内容も含めチェックしていなかったので。     ****** 後半のディスカッションは非常に盛り上がり、また第二回をやろうという話になりました。   今回の勉強会は、「(エリート層の)一般市民」と「山谷の労働者」の対話を目指していました。 山谷の方々が「行政は...

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自由について、イスラエルで考えた

3年前日本に呼んだイスラエル人ダニエルとその妹と、エルサレム郊外のこじゃれたバーで飲んでいるとき、ふとダニエルが言った。 「イスラエルは物価高いのに給料安くて生活はキツイけど、日本で生きるより幸せだと思う。」 18歳になったら二年以内に大学に行かなければ「いけない」、大学を卒業したらすぐに働かなければ「いけない」、日本はなんて不自由な社会なのだろうと、彼は言う。 三年前に一ヶ月滞在しただけなのに、よく日本のことを分かっているなと思った。 イスラエル人は20歳で兵役が終わると、5年ぐらいバイトで生活費を稼ぎながら、旅をする。 その後やりたい勉強が見つかれば大学に行き、やりたい仕事が見つかれば働く...

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ある社会システムの価値

週末は映画の翻訳を手伝ってもらうために、バングラデシュ人の友人と会っていた。 彼は今日本で勉強していて、その後カナダに留学したいらしいのだけれども、いつかは必ずバングラデシュに帰るつもりらしい。   家族や地域社会の絆の深さ、愛情の濃さ・・・バングラデシュ人たちは自分たちの社会を誇らしげに語る。 そして僕は、そういったものに居心地のよさを感じるとともに、面倒臭さを感じることもある。 僕は「自由」に最も価値を感じるから。   そして、それら共同体の絆の濃さは、日本社会が近代化・都市化・グローバル化といった中で失ってきたものだ。 これからバングラデシュも失っていくのかもしれない。   ******...

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