「外から人が入ってくるようになって、自分たちは貧しいことを初めて知った」 飛行機の中で読み返していた、『ラオス 豊かさと「貧しさ」のあいだ』の一節だ。昨年に引き続き、今年も年末はラオスで休暇を過ごしている。 こうして「発展途上国」にいるたびに、20代前半の頃を思い出す。 「貧しい」人々を助けたいと願い「発展途上国」に関わるようになったけれども、次第に彼らの豊かさに気づくようになった。そしてそれが、僕が途上国ではなく日本国内で事業をするようになったきっかけだった。 もちろん「開発」「国際協力」という仕事が不必要だと思っているわけではないが、僕自身は今も彼らとの関わり方が分からないでいる。 ***...
...遠くの国に生きている、ということ
北朝鮮の独裁者が死んだらしい。 僕は北朝鮮問題にはそこまで関心がなかったのだけれども、一方で「独裁者」には縁があったように思う。 そもそも、イラク戦争への憤りがきっかけで大学受験を志したし、その後ルーマニアで生活していたこともあった。 ****** イラク戦争の頃、僕は「アメリカが間違っている」と熱く憤っていた。 そういう若者は、その頃よくいたように思う。 けれども、大学1年生の終わりに、イラクの若者をホームステイ先として受け入れることになってから、考えが少しだけ変わった。 ある晩、部屋でイラク問題について語っていると、そのイラク人の若者は、「アメリカに感謝している」と語ったのだ。「独裁者であ...
...ビジネスは人を幸せにするのか
ということを、世界各地で考えてきた。 グローバル企業の進出による人の移動でスラム化するダッカ、低賃金労働力として働かされるバングラデシュの人々は勿論のこと、資本主義導入後急速に貧富の差が拡大したルーマニア、同じくポルポト後の「経済発展」により貧富の差が拡大したカンボジア・・・ 実は経済発展なんてしなくても、それなりに楽しく皆生きているんじゃない?っていつも疑問に思っていた。 そして、そういうことを相対化して考えたくて、商社という道を選んだのでした。 昨日、就職活動中の大学の後輩と会う機会があったんだけれども、BOP(Base of Pyramid)ビジネスについて話している時、ある...
...個人メモ
バレンタインの今日は、大学の後輩E君と会った。お互い最近まで「やっかい」な状況だったわけだが、一緒に励ましあった仲である。 その後、大学の同級生で某シンクタンクで働くT君に会う。「将来なにやりたいんだろ」とお互い悩みあう仲である。 ちなみに、男と過ごしたバレンタインは中学以来だった・・・切ない。 以下、個人メモ。いい加減、将来的な着地点を定めたいと思っている。 関心地域:アジア(日本~インド)、イスラエル・パレスチナ 関心対象:社会の底辺にいる人々、広義の「貧困」(先進国・途上国問わず)←むしろ、先進国も途上国も問題の根源はあまり変わらないのでは?先進国vs途上国の図式はもう古い。...
...開発学・国際協力に関する勉強会、開催のお知らせ
開発学・国際協力などに関する勉強会を開催することにしました。 これから二週間に一回ぐらいを目安に開催しようと思っています。 月に一冊(つまり勉強会二回で一冊のペース)読んで、色々議論できればいいかなーと思ってます。アマルティア・センとかじっくり読みたいなぁ。 とりあえず第一回は、今週日曜の夕方6時からです。 一回目は、参加者一人一人が自己紹介を兼ねて、学生時代研究してたこと、仕事で関わっていること、など開発・国際協力に関わる問題意識を10分ぐらいでプレゼンしてもらおうと思っています。 (もちろん、これまで開発を勉強したことがない方も歓迎です) 参加者は「熱い気持ちを忘れたくない」と思っ...
...所謂、国際協力について
情熱大陸でインドの国連職員が特集されていたのを見た。 昔は純粋に「国連に行きたいなぁ」と思っていたけれども、最近はどうもしっくり来ない。 村の女性たちに文字を教えることや、保健教育を提供すること、それ自体の価値が分からないから。 別に文字が読めなくても、病気で多少早死にしてしまったとしても(確かに幼児のうちに死んでしまうのは悲しいが)、それでも何千年も人間社会は回ってきた。 アマルティア・センも「非民主主義が飢餓を生む」というようなことを言っていたと思うけれど、本来の人間社会のシステムそれ自体が飢餓を生み出していたら、こんなに長いこと人間社会は続いているわけがない。グローバリゼーション、政...
...途上国、経済発展、ビジネス、日本
「途上国の発展にビジネスを通じて貢献したい」というせりふを、就職活動中あちらこちらで聞いていて、いつも何かが引っかかっていた。 それは、①経済発展=人間の幸福、②途上国の発展=日本経済の後退、という関係性への論証が足りていないからだと思う。 1点目に関して言えば、開発学の歴史の中で示されてきたように、人間の幸福は単に経済発展では測ることができない。経済開発が重視されていたのは、もう数十年前のことだ。もし経済の発展度で人間の幸福を測ることができるなら、日本人はバングラデシュ人の数十倍も幸福なことになってしまう。(一人当たりGDP比) この辺りは、アマルティア・センの議論が参考になる。 ...
...卒業論文提出
卒業論文を提出した。 バングラデシュの娼婦たちの様子を「主体」と「構造」という二つのキーワードで描けた。 ワードで60ページあるので、ここにアップできないのが残念だけど、見たい人がいたら是非言って欲しい。(何年か働いたら大学院に戻る可能性はかなり高いので、論文への意見が聞きたいっす。) 理論的にはギデンズの「構造論」などを使ったんだけど、娼婦たち「主体」が「構造」によって翻弄されながらも、「主体」が「構造」を変えていくような可能性を示せたという点で、自分にとってはかけがえのない論文が書けたと思う。 ある先輩が昔、「卒業論文なんて緑のマキバオーほどの価値もないことに気づいてしまった。」と...
...文献を探しています。
卒論を書いています。 就活が終わってから書き始めたので、毎日ほとんど卒論に費やしています。 なんだかんだで忙しいです。 5月末には提出予定です。 テーマは「バングラデシュの娼婦(brothel based)がなぜ社会復帰できないのか」です。 主体である彼女たちの自己信頼と、構造である娼婦たちへのスティグマが相互に連関し、主体が構造によって構築されている過程をうまく記述できたらと思っています。 ただし、四年半大学にいながら学問らしい学問をやってこなかったので、果たして間に合うのかという疑問があります・・・ 毎日本は無駄に読んでたけど、もっと学問をやっておくべきだった・・・ ところで、...
...一年前の夏の成田空港から、変わらないもの
卒業論文では、先進国・途上国が共に活かしあうような開発の形について考察したいと、前日のブログで書いた。 それはひとえに、僕が「彼ら」から受け取ったものが、ものすごく大きかったからだと思う。 僕は幼い頃から、自分と他者や、自分と世界を「隔絶したもの」と捉えていて、だから自分の殻のなかで生きていた。 ずっと誰からも必要とされて生きてはいなかったし、だからこそ他者への優しさに欠けていた。 独りで生きることを、「強さ」と勘違いしていた。 そんな僕が世界と繋がったのは、昨年の夏のことだった。 それは、大学に入ってから徐々に溶かされ始めていた殻が、崩れた瞬間だったように思う。 人の優しさと...
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