2週間ほど、友人たちと東欧を旅行していた。 ポーランドのクラクフでアウシュビッツを見た後で、ハンガリーを経由して、セルビアのノビサドという街まで南下した。 そこでサッカー日本代表戦を見た後で、友人たちと分かれ、一人旅となった。 タクシーと電車を乗り継いで16時間、ルーマニア北西の街、クルージュナポカを訪れるためだ。 この街には、22歳の頃に一時期住んでいたことがある。 逃げるようにしてこの街を離れてから七年半も経ったけれども、たいして街は変わっていなくて、その風景は忘れかけていた記憶を蘇らせた。 深夜1時47分に列車がクルージュナポカ駅に到着すると、予約していた駅近くの宿に直行した。 翌日は、...
...得たものについて
早朝ハンガリーの某日本人宿で出会ったひとたちと共に、クロアチアを経由してウィーンに入った。 色々な人を話をする中で、少しずつ考えが変わってきた。 時間、自信、お金、そして大切な人、この三ヶ月の間で色々なものを失いすぎたと、ずっと後悔していた。 でももし、ルーマニアで生活していなかったら、僕は狭い社会の中で自分の能力を驕っていたままだったかもしれない。 自分の弱さを隠したままで、人に対する優しさを忘れ他者の弱さを認めなかったかもしれない。 そして、いつまでも過去を言い訳にして、大切な人を「大切だ」と強く思うことなく、日々を生きてきたのかもしれない。 次の場所に進むのにはまだ...
...ルーマニアで失ったもの
引越し準備も終わり、今日ハンガリーに着いた。 ウィーンからのフライトまで、ここで時間をつぶす。 僕はルーマニアでいろいろなものを失いすぎた。 時間も、お金も、自信も失った。 僕はなんのためにルーマニアに行ったのだろう。 僕はなんのためにがんばったのだろう。 今、ここに生きている意味がわからない。...
ルーマニアの空
ルーマニアの空はいつもどんよりとしていた。 もちろん晴れた日もあったのだけれど、でもなぜかいつも空が重いように感じた。 家から研究所までの行き帰りしていたことは、帰国までの日数の計算だった。 深夜閉じた瞼の中に浮かんでいたのは、日暮里や武蔵境の慣れ親しんでいた風景だったり東京にいる愛する人や仲間たちだったりした。 ずっと海外経験が欲しいと思ってて、「チャンス」とばかりに飛びついた今回の研究所勤務。 蓋を開けてみれば、それ自体には何の意味もない経験だった。 ある人が昔よく使っていた言葉に「見る前に飛べ」というのがあり、ここ二年ぐらいはそれを自分の中の標語としてきた。 だから研...
...ブカレスト!!!
昨日ブカレストに到着。 はるばる電車で8時間。貧乏という病のため、鈍行列車の二等席を利用。暑く長かった。 ルーマニアは日本とそこまで物価が変わらない(物によるが)ため、生活が本当にきつい。しかし、昨日は奮発して1000円ぐらいでルーマニア家庭料理を食べた。ブカレスト記念だ。 ブカレストは日本並みに暑い。山奥の我が街では、ずっとシャツにジャケットという格好で済ませてきたのだが、ここではTシャツ一枚でも汗が吹き出してくる。 以前JETROのホームページで見つけたブカレストの日本語使用可能なネットカフェに緊急非難だ。 これからインターコンチネンタルホテルで髪をきってくる予定。JICAのホ...
...ルーマニアからエグゾダス
四日連続の更新。 ルーマニアから離れられるというのは、正直嬉しい。 今までは「試練」と思って乗り切ってきたけど、それも「日常」となると意義を感じなくなってくる。 未だに街中を歩くとよくからかわれる。先週の火曜日は特に最悪だった。 公園を歩いていたらいきなり私の正面に学生集団がやってきて、大笑いし始めた。殴ろうと思ったけど、「「平和」研究所職員が暴行で逮捕」とかルーマニアの新聞で報じられたらシャレにならないだろうと思って、歯をくいしばって無視した。 唯一のアジアからの友人だった台湾人の女の子も最悪だった。 彼女はアイセックで働いているのだが、そのイベントがシビウという街であるので行こ...
...休日の過ごし方
土日は、シビウという街に遊びに出かけるはずだった。諸事情により中止となった。 というわけでいつもと変わらない休日が始まった。 遅く起きた朝は、朝食作りから始まる。お金のない私は、忙しい平日の朝食・昼食をファーストフードで済ませてしまうことが多い。だから休日はちゃんと自分で作ることにしている。 ゆっくり風呂に入り部屋の掃除や洗濯を終わらせたあと、勉強にとりかかる。今日は雨だ。 電子辞書に記録してあるこの一週間で調べた単語を書き出したり、TOEFL用の教材をやっているうちに、降っていた雨がいつのまにか止み、雲ひとつない青空に変わっていたりする。クルージュの天気は変わりやすい。 そん...
...日常を生きるということ、泥臭く生きるということ
土日に時間があったので、まとめてワードで日記を書いたのだが、ネットが研究所にしかなく、平日は忙しい&土日は研究所に行かない以上、土日にまとめてワードでブログを書くというのは悪くないなと思う。 普段は直接ブログに文章を打ち込んでいるのだが、一回書き終わったあと修正をしてしまい、一回文章をsubmitしてから一時間ぐらい推敲していることもある。つまり未完成の文章を一時WEB上に挙げているのだ。しかしこれはあまりよろしくないなと思っていたので、次から土日にワードで文章をつくってWEB上にあげようなんてことを考えている(RSSリーダーを利用している人には、今まで未完成の文章を読ませていたことになっ...
...迷い
ルーマニア生活も三週間が過ぎようとしている。生活には慣れた。 この三週間で散々思い知らされたことは、今の英語力でネイティブと仕事をするのは無理だということだ。日本社会にいたり、またアジア・中東の人間たちと交渉している段階では気付かなかったことだ。 本当にいい経験になった。この先2、3年以内にネイティブと対等に仕事ができる英語力を身につけなければいけない しかし今、根本的な問題を抱えている。どうも自分が携わっていることに興味がもてないのだ。 私はこっちに来るまで、ジャーナリズムとソーシャルベンチャーのどちらで生計を立てていくか悩んでいた。それに関連することはここでもできな...
...ナショナリズムについてルーマニアで考えた
私の住むトランシルバニア地方は人口の30パーセントをハンガリー人が占める。 ハンガリーの支配下にあった時期が長かったからだ。 先週、同僚に連れられて行ったハンガリー系のバーで、近くの大学で写真を学ぶ若者と話していたとき、ふいにナショナリズムの話になった。 「お前には分からないかもしれないけど、俺はどこまでいってもルーマニア人ではないんだ。」 彼は言った。 次の日、同僚のエルッド(ハンガリー系ルーマニア人)に、彼のアイデンティティーについて質問してみた。 「俺は愛国心とか民族意識だとか、そういうものが嫌いだ。」 きつい言葉で彼が言ったあとに、微笑んだ。 「俺はこのクルージュの街が好きさ。それで...
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