Today is the greatest day I’ve ever known

バングラデシュの首都ダッカからバスで6時間のタンガイル村を訪れることになったのは、「タヒルさん」とダッカ大学付属の日本語学校で出会ったことが始まりだった。「バングラデシュの田舎に行きたい」と僕が言うと、三日後に彼の故郷を案内してくれることになったのだ。   昼過ぎにタンガイルに着くと、親戚を挙げての歓迎を受け、タヒルさんのお母さんとお姉さんは、食べきれないほどのご馳走を振舞ってくれた。 息子の帰省を泣いて喜び、彼の友人である僕たちの訪問を大歓迎してくれる、彼のご両親や親戚の方々を見て、少しだけ羨ましくなった。   ただその後に待ち受けていたのは、村中に散らばる彼の親戚たちへの挨拶回りであり、そ...

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一年前の夏の成田空港から、変わらないもの

卒業論文では、先進国・途上国が共に活かしあうような開発の形について考察したいと、前日のブログで書いた。 それはひとえに、僕が「彼ら」から受け取ったものが、ものすごく大きかったからだと思う。     僕は幼い頃から、自分と他者や、自分と世界を「隔絶したもの」と捉えていて、だから自分の殻のなかで生きていた。 ずっと誰からも必要とされて生きてはいなかったし、だからこそ他者への優しさに欠けていた。 独りで生きることを、「強さ」と勘違いしていた。     そんな僕が世界と繋がったのは、昨年の夏のことだった。 それは、大学に入ってから徐々に溶かされ始めていた殻が、崩れた瞬間だったように思う。 人の優しさと...

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卒業論文 「新しい開発の形について」

この前大学に入ったと思ったら、もう卒業論文のテーマを決定しなければいけない時期になっていた。 私は2008年6月に卒業予定なのだけれども、卒業論文の指導教官決めが3月卒業の人たちと同じ時期だということを、今週知った。   一ヶ月ぐらい前、周りの三年生たちが卒論で悩んでいるのを見ていたので、さすがに焦った。期限は一ヶ月近く過ぎていた。 慌てて学科の事務室に問い合わせしたところ、「なんとか間に合う」ということだったので、昨日早朝にM准教授にメールを入れたところ、すぐにOKの返事が来た。 私が卒論のテーマとする、「マイクロファイナンスやソーシャルマーケティング」は今後ますます重要な課題となる、と励ま...

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ここではないどこかへ

所謂AC系である僕は、「ここではないどこか」を求めて、今までなんとか生きてきた気がする。 そして、「ここ」にある程度の充実感があって、「どこか」がある程度見えていたから、なんとかやってこれたのだと思う。   ずっと自分のいる場所に満足できなかったし、第一自分の立っている場所がよくわかっていなかった。 それに時間の流れが早すぎて、自分の居場所が変わりすぎていて、そのことさえ真面目に考えてなかった。     この一年は何もしなかった。 ルーマニア生活を除けば、毎日大学に行って勉強をして、一日一冊本を読み、二日に一本映画見ていた。色々なことを考える時間がありすぎた。   小学校を卒業して家を出てから...

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私の高校時代

いくつかの公立進学校の三年生の生徒が、文科省が定めた卒業までに必要な科目を履修してなかったことが分かり、マスコミが騒いでいた。 何らかのインデックスを用いて教育の達成を評価をするのは当然のことなので、問題視されてしかるべきなのだけれども、個人的には「たいしたことでもない」気がしてしまう。   公立の学区下から三番目の高校に通っていた私は、高校一年生の途中から、あまり学校に行かなくなった。 別にイジメに合ったとか、引きこもりだったというわけではない。 毎日朝まで遊んでいたため、起きてテレビをつけると「笑っていいとも」が終わっていたのだから、必然的に学校に行けなくなったということだ。 そして高校三...

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グラミンバンク、ムハマド・ユニス、ノーベル平和賞受賞に際して

グラミンバンクとムハマド・ユニスがノーベル平和賞を受賞したというニュースを聞いて驚いた。 「グラミンバンク」や「BRAC」など開発学をかじったことのある人なら聞きなれたバングラデシュのNGOsをこの目で見てみたい。それが今年の春、現地を訪れた大きな理由のひとつだったからだ。   「グラミンバンク」や「BRAC」を有名にしたのは、事業の中心である「マイクロファイナンス」の成功によるところが大きい。 マイクロファイナンスとは端的に言えば、「途上国の貧困層への低利子貸付」のことだ。途上国において、担保もなく信用もない貧困層が、銀行等からの融資の対象となることはほとんどない。そのため彼らは自力でビジネ...

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ICUが、就職後の稼ぎランキング一位に

今週号の東洋経済を見ているとなにやらきになる記事を発見した。   以下、引用 「就職後の稼ぎでランキング、三冠王は国際基督教大学」 このランキングを見ると東大や慶応大など名だたる有名校を緒さえて、意外にも国際基督教大学がトップに立った。しかも「30歳モデル年収」「40歳モデル年収」「生涯給料」のすべてでトップに立った。生涯給料は唯一、3億円を越えている。 同大は教養学部だけの単科大学。教養教育に特化し、外国語教育に力を入れ、少人数教育で名高い。入試も独特で他大学との併願がしづらいのでも有名だ。「どうしても国際基督教大学に進学したい」という受験生が多く、もともとモチベーションの高い入学者が多いと...

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共に生きるということ

「ぼくは子どもの頃からずっとひとりで生きてきたようなものだった。・・・しかし大学生の時その友達に出会って、それからは少し違う考え方をできるようになった。長い間1人でものを考えていると、結局のところひとりぶんの考え方しかできなくなるんだということが、ぼくにもわかってきた。1人ぼっちであるというのは、ときとして、ものすごくさびしいことなんだって思うようになった。」(村上春樹 「スプートニクの恋人」より)       9月の前半、アメリカのパレスチナ人・ユダヤ人のピースキャンプに呼ばれていたのだが、仕事が始まる前の二日間僕はサンフランシスコ近郊に滞在していた。 現地のキャンプオーガナイザーが手配して...

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「希望」について

半年前、バングラデシュのダッカ空港に着くと、僕はタクシーの運転手に「最も安い宿に連れて行ってくれ」と頼んだ。 しかし訪ねたどの宿も一泊10ドル以上したため、僕は滞在を拒否し続けた。 観光産業の発達していないバングラデシュでは、所謂「安宿」はほとんど存在しないみたいだった。 タクシー運転手はこのケチな東洋人に苛立ち、結局彼は僕を「売春宿」に連れて行った。一泊5ドルだった。   部屋に入るとすぐに、ホテルの従業員たちが大勢やってきた。 バングラデシュでは珍しい日本人に、集まった10人以上の従業員が片言の英語で質問攻めをする。 年齢、家族構成、恋人の有無、好きな食べ物、バングラ滞在の理由、あまりに無...

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