先週、久しぶりにある友人に会い、話し込んだ。 4年前イスラエル・パレスチナでNGOをしていた時、代表であった僕の右腕となって活躍してくれていた友人だ。 いや「右腕」というのはだいぶ失礼な表現で、彼が僕を成長させてくれたという表現が正しいだろう。 NGOとはどうあるべきか、市民社会とはどうあるべきか、という理論から始まり、事業計画書や財団申請書の作成方法、ニュースレターやウェブサイトといった広報の方法まで、あらゆることを教えてくれた友人だ。 そんな彼は、今地元に帰って自ら興したNGOを始動させている。 彼の事業プランを聞かせてもらったのだが、これが非常におもしろい。(どうおもしろいかは、...
...大人になる、ということ
大人になる、ということは難しい。 それは金銭的なものだけではない。むしろ、金銭的なことに限って言えば、僕は「大人」だったと思う。 高校時代からアルバイトで必死に生活をしてきたし、大学時代はベンチャーで働いた給料や奨学金によって生きていたのだから。 そうではなくて「大人になる」ということは、何にも依存しない、ということだと思う。 地位にも名誉にも、恋人にも女性関係にも、そして家庭環境や過去の栄光にも。 つまり、自分の責任でいきていくという覚悟のようなものだと思う。 この一年間で色々なものを失ったけれども、そうでなければ「大人になる」ということの意味に気づけなかったんだろう。 そろそろ前を...
...to aim higher is to enjoy it purely
自分自身への「期待水準」と、現在の自分の姿が一致しないとき、人は苦しむ。 そしてその「期待水準」は、往々にして他者からの視線や承認によって創られる。 例えば、幼い頃から成績(=他者から与えられた基準)が良かった人は、いい大学に入れなければ苦しむ。 例えば、いい大学に入った人は、いい会社に入れなければ苦しむ。 例えば、「すごい人」になりたいと願う人が、「すごい人」になれなかった時、苦しむ。 「期待水準」に向かって努力することは大切なことかもしれないが、楽しいと思えることを楽しむことの方がもっと大事なことだと最近は思う。 ****** 「のだめ」の中で好きなシーンがある。 幼稚園の先生...
...臨床心理学
この一年ぐらい、ずっと関心があったのが臨床心理学だ。 村から売られてきたり、縫製工場での過酷な労働に耐え切れずにやってきたバングラデシュの娼婦街の人々が、なぜ自らを「生きている価値がない」と嘆くのか。経済的には貧しくないにも関わらず・・・ ある者はリストカットを繰り返し、ある者は恋愛に依存し・・・そういう中で彼女たちを救う仕組みはほとんどなかった。 パレスチナでも同じだった。 多くの者たちが親戚や友人と殺され憎しみの中で生きていたが、彼らを精神的にケアする仕組みが足りているようには見えなかった。 そしてそれらは、彼らを「自爆テロ」へと向かわせる。 会社に入ってからは山谷のホームレス...
...年が明けて
30日は会社の同期たちがうちに来て、飲んだり東京中をドライブしたりで朝まで語り、 31日は大学時代のクラスメイトがうちに来て、ベランダでsmashing pumpkinsのtonight tonightを熱唱しながら年を越し、タクシーで近所の湯島天神へ。 去年は本当につらいことばかりで、肉体的にも精神的にも限界が来ていたけれども、一方でそれを支えてくれた友人たちの存在にも気づけたような気がします。 本当にありがとう。 ****** ところで、上記のtonight, tonightという曲は中学生の頃初めて聞いてから、ずっとmy bestであり続けた曲。 その頃は英語なんて分からなかった...
...戻らない青春
「のだめ」の映画を見に行った。 オーケストラの演奏に酔いしれ、夢を追う登場人物たちの姿に美しさを感じていた。 同時に、僕にもあんな風に夢を追いかけていた時期があったな、と少しだけ寂しくなった。 そして、またいつか輝ける日が来るのかなと。 ****** 「大人になるっていうことは、色々なものを棄てていくことなんだよ」 ある人が言っていた。 その通りだと思う。 そして僕は肉体的にも精神的にも限界があることを認識しているし、いつまでも過去の思い出にstuckしていちゃいけないことは分かっている。 けれども、まだ自分の人生に諦めをつけきれてはいない。...
のだめ
を観ていたら、やっぱりピアノを習いなおしたいなぁと思った。 昔から、「趣味」を「プロ」にしないと気がすまなくて、だから色々なものを棄ててきたけれども、趣味は趣味として大事にとっておくのも大事なことなんだろうな。 ****** 小学生まではピアニストになるものだと思っていた。 けれどもコンクールに出るたびに上には上がいることを見せ付けられて、いつのまにかピアノに触らなくなっていた。 でも今日、のだめを観てたら、勝手に手が動いていて居ても立ってもいられなくなってきた! どっかにいい先生いたら、教えてください。...
書評
良い文学に出会えた。 橋本治の「巡礼」だ。 「ゴミ屋敷」の老人の一生を描いた作品。 近隣住民の不満から描かれる人間同士の「分かりあえなさ」、一方で老人の背負ってきた孤独、模索し続ける生きる意味、そして孤独からの救い・・・後半は震えが止まらなかった。 戦後の復興期を不器用に生きた老人は、孤独という無意味さの中でもがき続け、自分でも訳の分からないままゴミを拾い集めていた。 その思いを言語化できずに苦しむ老人に代わり、著者は老人の記憶の軌跡を辿っていく。 その美しくも苦くもある老人の思い出が紡ぎ出された最後に、弟との再会によって全てが昇華される。 久しぶりに何度も読み返したい小説に出会えた。 や...
...1つの線
20歳で大学に受かった頃は、まだ劣等感の塊だった。 同級生たちと違ってちゃんとした教育を受けたこともないし、英語も全くしゃべれない。 不安だった。 その秋に学生NGOの代表となった時(メンバーがいなかったからだが)、そして一定程度の成功を収めた時、自分に自信が付き始めた。 その後、ルーマニアで挫折した時に一度崩れかけたけれども、それでもまだ幼児的な全能感に満ちていた。 勘違いだったかもしれないが、人から認められることに慣れすぎていた。 だから、ビジネスも映画も国際協力も・・・・ 去年はどうやって両立させようか考えていたし、できると思っていた。 ****** 肉体的にも精神的にも自分...
...不条理について
白石一文の新作「ほかならぬ人へ」を読んだ。 家族関係も男女関係も、そして自らの肉体も全てが不条理でであるーそんな当たり前のことを思い出した。 社会や世界は不条理に満ち溢れていて、それでも人は前を向かなければならない。...