夕方、突然小学校時代の友人から電話がかかってきた。
放課後、毎日校庭でサッカーをしていた仲間だ。
彼とは小学校を卒業してから会ってないのだが、20歳の頃、一度電話があった。
ちょうど僕は大学に合格した頃で、彼は医学部を目指して三浪目を決めた時だった。
お互い落ち着いたら会おう、と話していた。
そして5年後の今日、再び電話があった。
「進路が決まったら連絡しようと思っていたが、タイミングを逃して今日になってしまった」と謝られた。
結局、彼は四浪して北陸地方の国立の医学部に合格、現在は四年生だという。
二浪している僕には、四年間自分を信じ続けるつらさが分かる。二浪目の後半でさえ、かなりつらかったから。
僕は、商社で働き始めたこと、そのうち国連に行こうと思っていること、などを話した。
「5年前電話したときも、大学で勉強して国連に行くって言ってたよ。夢を見失ってないんだね。」
と言われた。あの頃の気持ちを思い出した。
地元の暴走族ともめて警察にいた17歳の夜、こんな生活から早く抜け出そうと誓った。人のためになることがしたいと思った。
一日13時間の勉強を経て、20歳で大学に受かったとき、やっと人生をやり直せると思った。
その後イスラエル・パレスチナで、ルーマニアで、バングラデシュで人々の声を聞き、何ができるか考えていた。
肩に力を入れて夢や希望を語ることを美徳だとは全く思わないのだけれども、それでも僕はまだ、あの頃見た夢に向かって歩いている。彼も着々と医者への道を歩んでいる。
この五年間で余計なプライドと要領の良さばかり身についてしまったけれども、とりあえず前に進もう。今までもそうやってきたのだから。