自分自身への「期待水準」と、現在の自分の姿が一致しないとき、人は苦しむ。
そしてその「期待水準」は、往々にして他者からの視線や承認によって創られる。
例えば、幼い頃から成績(=他者から与えられた基準)が良かった人は、いい大学に入れなければ苦しむ。
例えば、いい大学に入った人は、いい会社に入れなければ苦しむ。
例えば、「すごい人」になりたいと願う人が、「すごい人」になれなかった時、苦しむ。
「期待水準」に向かって努力することは大切なことかもしれないが、楽しいと思えることを楽しむことの方がもっと大事なことだと最近は思う。
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「のだめ」の中で好きなシーンがある。
幼稚園の先生を目指している「のだめ」が、ピアノの才能を先輩や先生に見出されて苦しみ、プロのオーボエ奏者を目指す黒木君に悩みを打ち明けるシーン。
「ピアノは好きですよ。。。でも幼稚園の先生になりたい私が、上を目指すのっておかしいですよね?」
それに対して黒木君は、言葉を選びながら答える。
「のだめちゃんの言う上っていうのがよく分からないけど、音楽をやってて単純にうまく演奏できたら嬉しいし、もっと上手くなったらもっと楽しいんじゃないかなって。だから、上を目指すっていうのは純粋に音楽を楽しむってことなんじゃないかな。」
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いつのまにか、そういう感覚を忘れていた。
僕はもっと自分に正直に生きたい。その先に待つ未来が、不確かだとしても。