書評

良い文学に出会えた。
橋本治の「巡礼」だ。
 
「ゴミ屋敷」の老人の一生を描いた作品。
近隣住民の不満から描かれる人間同士の「分かりあえなさ」、一方で老人の背負ってきた孤独、模索し続ける生きる意味、そして孤独からの救い・・・後半は震えが止まらなかった。

戦後の復興期を不器用に生きた老人は、孤独という無意味さの中でもがき続け、自分でも訳の分からないままゴミを拾い集めていた。
その思いを言語化できずに苦しむ老人に代わり、著者は老人の記憶の軌跡を辿っていく。
その美しくも苦くもある老人の思い出が紡ぎ出された最後に、弟との再会によって全てが昇華される。

久しぶりに何度も読み返したい小説に出会えた。

やっぱり、文学とか映画っていいなー

2 Comments

  1. 19mi
    2009年12月24日

    久しぶりー地主だったうちの親戚、いわゆるゴミ屋敷の借家人とトラブルになり刺されて亡くなったことがあるので、気になるお話です。

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  2. yusuke
    2009年12月24日

    久しぶり。相変わらず、楽しく仕事されてますか笑?そんなことがあったんだ・・・・その小説は、ゴミ屋敷が片付けられて終わるんだけどね。分かり合えない人間たちを描いたいい小説でした。

    返信

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