政治家・知識人の責任

A新聞の朝刊で竹中平蔵のインタビューが出ていた。
自身への非難に対し、「正規と非正規の賃金格差が問題であり、規制緩和の方向性は正しかった」ということを主張していた。
 
おっしゃるとおりだけれども、大臣在任中に「同一労働同一賃金」なんてやって来なかったことには、何の言及もせず。セーフティネットを張ってこなかった責任についても言及せず。
一方で、「私は政策の専門家」だとインタビューの中で答えていた。醜すぎる。
 
この国の知識人なり政治家というのは、自分の間違いを認めることができない。
そして社会もそれを許す。
 
イラク戦争に大賛成して、イラクに大量破壊兵器があると主張していた自称外交の専門家たち、日米同盟のためにはイラク戦争に賛成しなければならないと政策決定した政治家たち。
そういった人たちが、何もなかったかのように大学の教授になっていたり、論文を寄稿していたりとしているのは、あまりに醜い。そういう無責任な発言の中で、死んでいった人々にどんな償いをしたのだろう。
 
******
しかし、正社員の既得権益問題を、A新聞上で言及するとは・・・
なぜならA新聞の管理部門は、年収1500万円のわずかな社員と年収200万円の多くの非正規社員によって成り立っているから。
これに誌面上で切り込むと、自分で首を絞める結果になるが、大丈夫なのかなぁ・・・

11 Comments

  1. Shunsuke
    2009年3月10日

    「やったこと」に対する批判なら分かるが、「やらなかったこと」に対する批判というのはフェアではない気がするのだが、どうだろう。それだと結局は、揚げ足取りに必死になっている自民党の旧「ていこうせいりょく」と同じ立ち位置になってしまう気がするんだが。

    返信
  2. yusuke
    2009年3月10日

    構造改革に起因する問題に対して、セーフティネットを張らないのは問題だと思う。批判されているのは、「やったこと」への悪影響だから、その悪影響を想定しない時点で、「何が政策の専門家だ」と俺は思うが。あと、同一労働同一賃金について大臣在任中は何もしていなかったのに、あたかも在任中に取り組もうとしたかのようにあちこちで発言しているのも醜い。政策の専門家なら、自分の政策の結果を真摯に受け止めなさいと思う。

    返信
  3. Аня
    2009年3月10日

    今現在、職が定まっていない身として、こういった報道に敏感になり、同時に必要以上の不安をあおられているなと思う。雨宮さんなどの言葉がものすごく切実に響いてくるようになってるよ。政策の話とはちょっとずれるけれど、働くことということの格差についてはぜひ佐藤優氏の「テロリズムの罠 右巻」を読んでほしい!近々大学方面くる?ことがあったらまたあいましょう

    返信
  4. Shunsuke
    2009年3月10日

    何もしていなかったことと、取り組もうとしていたということは矛盾しなくないか?「やりたかった」のと「取り組んでいた」は違うからさ。そもそもやろうとしていなかったのか、それともやろうとしていたができなかったのか。どちらなのか俺には分からないけれど、「規制を壊したこと自体は正しいけれど、壊し方が不完全だから駄目だ」のような批判はどうもピンとこないんだよね。その批判を竹中が受け入れて謝罪したからって、一部の人は喜ぶかもしれないけれど、実際上は何も意味はないわけで。それならば、しかるべく方向に物事を推し進めるほうにリソースを注いだほうが合理的じゃないか?。その意味では、竹中の今の言動はある種合理的で正しいと思うんだが。

    返信
  5. yusuke
    2009年3月11日

    >あんな俺が山谷の人々の「代弁者」にはなりえないのは、職が定まってしまっているからだろうなと、最近考える。いわゆる社会のエリートと、山谷の日雇い労働者たちをつなぐような役割ができないかと思っているけれども・・・その点、雨宮さんは彼らの「代弁者」になり得ている一方で、どうも社会のエリート層には言葉が響かないような気がしている。佐藤優はSPAの連載しか読んでないや笑、今度読んでみます。実は明日からアジアの旅です・・・帰国は28日だから、4月に会おう!この前タイ料理屋で会ったときはしばらく働きそうな雰囲気だったから、ちょっと驚いているよ。

    返信
  6. yusuke
    2009年3月11日

    >迫君>「規制を壊したこと自体は正しいけれど、壊し方が不完全だから駄目だ」のような批判はどうもピンとこないんだよね。俺は、「壊し方が不完全だ」とはいってないよ。そうではなくて、「同一労働同一賃金」が、非正規労働者にとってセーフティネットに成り得るのに、してこなかったという点を非難したい。彼らは構造改革を進めるとき、「セーフティネットはちゃんと張ります」と宣言していたんだよね。それが実際はどうか?どう考えても失策です。その結果として多くの人々を苦しめたことを開き直っている姿勢は、山谷の日雇い労働者の方々や非正規労働者の知人を思い出すたびに、許しがたい気持ちになる。>その批判を竹中が受け入れて謝罪したからって、一部の人は喜ぶかもしれないけれど、実際上は何も意味はないわけで。それならば、しかるべく方向に物事を推し進めるほうにリソースを注いだほうが合理的じゃないか?。その意味では、竹中の今の言動はある種合理的で正しいと思うんだが。いや、それじゃ政治家は自らの政策に対して何の責任も負わない、って結論になるよ。そんなのおかしいじゃん。少なくとも、過ちは認め、なぜ誤ってしまったのかを自ら分析するぐらいのことはして欲しい。多くの国民を苦しめた以上、その失敗を将来に生かすぐらいのことはすべきでしょう。でも彼が今していることは、単なる自己弁護であり保身です。

    返信
  7. Shunsuke
    2009年3月11日

    >>それじゃ政治家は自らの政策に対して何の責任も負わない、って結論になるよ謝罪して自己批判するのが責任ではないと思うんだが。過去に彼がセーフティネットをやろうという意思のあるなしに関わらず、張れなかったことが過ちであるのなら、そのできなかったことを取り戻すべく今出来る行動をすることが責任なんじゃない?そう考えると、彼が各種メディアで「同一労働同一賃金」を主張していることはすごく合理的だと思うし、逆にもし竹中が自己批判して謝罪していたら、俺は「ふざけんな、やったからにはちゃんと政治家としての責任を果たせ」と思うんだが。

    返信
  8. yusuke
    2009年3月12日

    行動は大事。でも謝罪のない行動は間違い。なぜなら、彼は自分の過去の政策を反省していないから。まだ「正しかった」と主張しているから。つまりセーフティネットを張ってこなかったことに言及していない。そんな奴が次の政策を提案したって、また国民に迷惑をかけるだけだろうね。失敗を反省しなきゃ、次の成功はないでしょ。

    返信
  9. Shunsuke
    2009年3月12日

    今の段階で謝罪をされても全くうれしくないと思うのは俺だけなのかなー 別に竹中が謝罪しても誰も得しない気がするんだけどな。あと、同時に全てのことを完璧にしなければ政策を打てないとすると、誰も何もできなくなると思うんだが。政策なんてものは根本的には単なる資源配分の決定でしかないわけで、限られたパイの中での資源配分の決定をすれば、必ず正の影響もあれば負の影響もある。全ての政策はトレードオフを伴うからね。このことを踏まえた上で長期的な視野で政策を実行し、正の影響と負の影響両方に責任を持ち、最後まで実行責任を全うするのが政治家の責務だと思うし、政策を実行するたびに短期的な負の影響に対して謝罪するなんてことは政治家のやることではないと思う。俺は彼のやった規制緩和の方向性自体は間違ってないと思うから、現段階で彼を批判しようとは思わない。片手落ちの規制緩和をやるか、もしくは何もやらないかの判断で彼は前者を選んだわけだから、前者を選んだからにはその選択に責任を持って、理想的な形での規制緩和を達成すべく尽力すればいいと思う。今の段階で謝罪をすれば本人の心は慰めや癒しを得れるかもしれないけれど、そんな短絡的な癒しに逃避するような生半可な覚悟しかない人間は政治家失格だと俺は思う。そもそも、昨今メディアで騒がれているような規制緩和に関する様々な批判って、因果関係の真偽についての検証がほとんどなされていないよね。山谷の労働者の窮状と竹中が行った政策の間の因果関係がどこまであるのか俺には正直よく分からない。そして回帰分析なりなんなりをやって、もしその因果関係が認められたとしても、この規制緩和が行われなかった場合という"if"の世界まで考えてみないといけないんじゃないかなー モンテカルロを回してもいいし、単純に論理立てて考えてみるだけでもいいしさ。そうやって、まずは因果関係を検証し、なおかつ規制緩和を行った現在と行わなかったifの世界を比較検証したうえでの批判ならまだ理解できるんだけどね。

    返信
  10. Shunsuke
    2009年3月12日

    あ、あと俺もようやく今月末にバングラデシュに出張で行けることになったよ!でも安田君とはちょうどすれ違いっぽいね。入社する前かした直後にでも、山崎さん含めて入谷でご飯でも食べよう。

    返信
  11. yusuke
    2009年3月13日

    >片手落ちの規制緩和をやるか、もしくは何もやらないかの判断で彼は前者を選んだわけだから、前者を選んだからにはその選択に責任を持って、理想的な形での規制緩和を達成すべく尽力すればいいと思う。今の段階で謝罪をすれば本人の心は慰めや癒しを得れるかもしれないけれど、そんな短絡的な癒しに逃避するような生半可な覚悟しかない人間は政治家失格だと俺は思う。今バンコクなので、あまり長い返信はできないけれども、彼は責任果たしてないよ。だって政治家やめてるじゃん。政策決定には何もかかわってないし。でも一生懸命メディア上で「自分は正しかった!」とほえている。これは醜い。だから政治家失格です。別に謝罪なんていらないけどね、もしまだ「政治家」として政策決定に携わって、現状をなんとかしようと努力しているのなら。あと彼が今言っているのは「規制緩和とセーフティネットはセットでやるべきだ。」でも在任中はセーフティネットを張ってこなかった。そのことに言及されるとお茶を濁す。これも醜い。セーフティネットなんて必要ないぜ!っていうならわかるけれどもね、自分がやってきてないことを、あたかもやってきたかのように誤魔化す。彼は自分の政策に「多少」間違いがあったことは、わかっているんだけれども、それを認めたくないんだろうなというのが、伝わってくるよ。ちなみに、俺は27日までバングラデシュにいるよ。会えたら、バングラデシュでおいしいイタリアン紹介するよ笑ぜひ、底辺をさまよう人々の生の声を聞いてほしいなと思う。今、俺はグラミン銀行はもちろんのこと、MHの活動にもあまり賛同できていないから。議論したいね。

    返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です