バンコクより

バンコクに来た。
ここはバングラデシュ、イスラエル・パレスチナ、に次ぐ自分の故郷だと言っても過言ではない。(ちなみに、三月も来ている・・・)
いろいろなことを思い出した。
 
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今ふりかえってみると、4月後半はうつ病の一歩手前だったような気がする。
自分の頭でちゃんと思考することができず、どこかがおかしかった。周りからも、そう見えていたように思う。
僕が今まで最も大切にしてきた「自由」という価値が、否定されてしまったように感じていたからかもしれない。
 
それは、たとえば9時から5時半まで会社にいなきゃいけない、とか、毎日スーツを着なきゃいけないとか、そういう種の「自由」だけではない。
思考の「自由」がない。そこがつらかった。
 
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多様な人々にふれ、多様な価値観に触れ、モノの見方や感じ方を問い直すような出来事を、この五年間は経験し続けていた。
何が正しくて、何が間違っているのか、イスラエル・パレスチナでもバングラデシュでも、バンコクでも考えさせられていた。
そういうことこそが、大切にしていきたい価値観になっていた。
 
一方で大企業というのは、「利益」という価値観を軸に、行うべきことは上から降ってくる。
それが正しいのか間違っているのか、そういったものを考える余地はない。
 
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別に会社が悪いわけではない。ただ、僕が不器用なだけだった。
会社で働く時間が自分のアイデンティティになりそうで、それが苦しかっただけなのだと思う。
今まで求めてきたものが、すべて消えてしまったような錯覚を覚えていた。
 
けれどもここバンコクで、3月までの自分が何を考えていたのかようやく思い出せた。
感覚が戻ってきているのを感じる。
 
僕は僕だし、何も変わる必要はない。
 
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バンコクに到着した夜、友人Tと道を歩いていると、どこかで僕を呼ぶ声がした。
振り返ってみると、数年前、恋仲になりそうだった某タイ人女性だった。
彼女の友人たちと共にDiscoで踊り、朝日が昇るころ皆でチャーハンを食べた。
 
世界の狭さを感じると共に、自由だったあのころを思い出した。
あのころは国境も時間も、何も意識をしなかった。
 
5月からの僕は、目の前のやるべきことをするだけだ。再び自由になるために。

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