内定取り消しとか、派遣きりとか

内定取り消しの学生たちに対して、同情を誘うようなテレビ番組がよくやっているけれども、僕は?と思う。
 
まずサブプライム問題のこの時期に中規模の不動産会社に行くのなら、普通は会社がつぶれる覚悟があってのことでしょう。(じゃなきゃ、単なるアホだ)
それに、まだ入ってもいない会社に対して、「会社のことが好きだったのに、裏切られた。」って、どこまで情けないんだ・・・
組織に身を全て委ねようとするあり方自体が、リバタリアンの僕としては痛々しい。
 
 
 
派遣切りが話題になっている中、
「どうして正社員が切られないで、僕らだけが切られるんだ。」
というインタビューを見た。
 
資本主義経済の中で代替不可能な労働力は守られるのは当然だ。そして、代替可能な労働力が始めに切られるのも当たり前だ。
期間工よりもマネージメントをしている人材の方が労働者としての価値は高い。
(それでも自動車メーカーなんて、正社員だって給料はそんなに高くない・・・)
 
そして「キャノンは黒字を出しているのに、派遣を切るなんてけしからん」という議論も成り立たない。
常にコストカットをして、不測の事態に唱えるのは当然だから。
 
そういう議論ではなくて、家庭環境による教育レベルの差(そこからくる就業機会の差)などの「機会の不平等」、そして現状の「資本主義のあり方」までを左翼系の運動家たちに議論して欲しいものだと思う。
 
追記:
少し説明不足だと思ったが、サブプライム問題と日本の不動産の倒産の「直接」の関係は希薄です。
まぁ本や雑誌などで過去に特集は組まれているので、説明は必要はないとは思いますが。

4 Comments

  1. Jun-ichiro
    2008年12月21日

    左翼の求心力が低下したのって脱アイデンティティばかり礼讃してるからじゃないかなぁ。ナショナリズムにすがらなければ生きていけないような人たちにリバタリアン的生き方を求めるのは、ピントがずれてるような気がします。機会をどんなに平等にしても、10年後20年後には差が開く。だから「結果の平等」を社会主義は目指したわけだけれども。累進課税にしろ所得の再分配にしろ、そういうシステムがどうしても必要なんじゃないかな。才能のある人には申し訳ないですが。で、自分の稼いだ金が取り立てられるのを納得するためにはパブリックな精神が必要で、そういう心境ってフランスでもアメリカでもナショナルなところから発達してるんですよね。

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  2. yusuke
    2008年12月21日

    日本の運動家的な左翼が、脱アイデンティティなんて礼讃しているとは思えないけれども・・・正社員の賃金を守ろうとして、非正社員を使い捨てにしてきた、労組なんて。その辺のねじれは、よく言われることだけれどもね。機会を平等にすれば、その後の差は所謂「自己責任」に帰することができる。ただ、現状での非正社員の苦境は、往々にして「機会の平等」さえないからなのです。(これは僕自身、家庭環境に恵まれておらず、高校を卒業するまでまともな教育を受けてこなかったから、よく理解できる。大学に行けなかったら、僕も派遣で飯を食っていたことは間違いない)再配分やセーフティネットは勿論必要だけれども、「機会の平等」が保障されていないのは問題です。それが保障された上なら、賃金差なんてどんどんついていいと思っています。全ての人が、ある程度の生活レベルを維持できるセーフティネットを用意した上で。

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  3. Jun-ichiro
    2008年12月22日

    なるほど。本来フリーターや派遣のような人たちの立場を守るべき左翼が、正社員の利権しか認識してこなかったんですね。格差問題って正社員VS非正規雇用の確執に矮小化されているような気がします。なにかおもしろい本があったら教えてください。

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  4. yusuke
    2008年12月22日

    左翼が正社員の利権しか守ってこなかったことは、「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか」の著者の城さんがよく書いている。しかし一方で、韓国のように正社員も自由に解雇可能な国では、非正規雇用だけでなく正社員まで首を切られまくっています。つまり、ワーキングプアの問題は、ロストジェネレーションの問題=非正規雇用と正社員という既得権益の問題に、収束できるものではないということができます。結局、格差問題とは「グローバリゼーション」と「新自由主義」の問題です。その辺は、NHKのワーキングプアシリーズが良かった。今、僕がICU生なら、批判の矢面にある八代さんの講義をちゃんと聴いてみたかった。

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