「社会起業家」という欺瞞

僕は最近の「社会起業家」ブームに、なんとなく気持ち悪さを感じるようになった。 それは1つに、ある行為を「社会的だ」と信じる感受性の鈍さ、みたいなものによると思う。   前回グラミンバンクに関するブログでも書いたが、ある行為の正しさとはそんなに簡単には分からないと僕は考えている。 自衛隊派遣でも、靖国参拝でも、どちらが日本にとって正しいことなのかは判断の分かれるところだし、どれがいい年金制度なのか、どれがいい経済政策なのか、月一回金曜の夜偉い学者さんたちが朝まで議論しても、答えなんて出てはいない。それなのに、どうして「社会起業」という名がつくと、そういった問題の複雑性が覆い隠されてしまうのか、悲...

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外部者の視点、マイクロファイナンスを巡る言説

今日二度目の更新。   ****** 一昨年の秋バングラデシュを訪ねた時、農村のグラミンバンクを訪ねた。   グラミンバンクといえば、マイクロファイナンスの先駆けであり、開発を勉強する者たちの「憧れ」である。 マイクロファイナンスとは、無担保で小規模な資金を貧しい人に貸し付け、少しずつ返済してもらうシステムのことであり、これにより途上国の多くの人が貧困から脱出したと、言われている。 そしてビジネスという仕組みを通じたことで、寄付に頼るNGOと比べて、「持続可能」だとも言われている。  また、特徴として「女性に貸す」ことがあげられる。女性の方が、punctualだからだそうだ。この結果として、女...

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夢の所在

この二年間ぐらいは「バングラデシュ」一色だった。 何かを掴もうとして一生懸命だった一方で、色々な人と出会えたことは自分の財産になったと思う。     バングラデシュではずっと映画制作をしている。 僕はど素人なので右往左往しながら二年以上かかってしまったが、ようやく完成が見えてきた。 当然ここまでやってこれたのは僕ひとりの力ではなく、通訳を派遣して頂いたり、相談にのって頂いたりしているエクマットラというNGOの協力が大きかった。 http://www.ekmattra.org/   スタッフは渡辺さんという日本人一人と多くのバングラデシュ人学生たち。 彼がすごいのは「日本人」としてではなく、「バ...

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編集

毎日、映画の編集をしている。 PCに疎い自分としては、なかなかキツイ作業だ。 先ほど一部のテープの音声が小さすぎることを発見し、また3月現地で撮りなおしか・・・と、ちょっと鬱になる。   現在PC上で修正を試みているが、イライラする。 ネットサーフィンは大好きだが、こういった細かい作業は苦痛である。     ****** 来週、函館に三日ほど行きます。曾祖母が住んでいる。(ほとんど会ったことはないのだが) 年が年なので、四月からの仕事が始まる前に会っておこうと思ったのです。 僕は家族・親戚に対してほとんど思い入れがないのだけれども、戸籍上の母が亡くなってからは、こういう家族関係のこともしっかり...

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ニート生活

日本に帰ってきてから三週間がたとうとしており、映画の編集がほとんど終わっていない現状に焦っている。   バングラデシュでものもらいに1度なった後、日本で4度ものもらいになっている。病院にも行っているのだが、原因不明とのこと。 体調がなかなか優れず、やる気が出ない。   そんなときに、ついつい時間を費やしてしまうのが、ネットで過去の連ドラを見ることだ。 基本的に深夜のしょーもないドラマが好きなので、最近は特命係長只野仁シリーズを全て制覇して喜んでいたのだが、今はラストフレンズにはまっている。シェアハウスがしたくなったり、東京の西側に帰りたくなったりしている。   ****** あと、とにかく金が...

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日本の貧困についてのrandom thoughts

昨日は、最近マスコミなどを通じて有名になってきた某NPOのセミナーにいってきた。 日本の貧困者のために、生活保護の支援手続きや生活保護相談などを行う団体だ。最近は「格差社会」特集などの雑誌を見るたびに名前を拝見していたので、結構気になっていた。僕自身、社会的にも経済的にも貧困だった時期があるので。   ****** 話を聞いてみると、 「政府は生活保護基準を上げろ」「国家は弱者を助けろ」 そればかり。どの質問に対しても、「政府がおかしい」と答えを誘導したがる。 あげくの果てには、「昔は年功序列社会で、賃金も年々上昇し企業が社会を守る時代だった。今は企業が人を切り捨てる時代だ。」と。   そこで...

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進路報告

先週、某マスコミを辞退しようやく進路を決めました。 商社に行きます。   こんなこというと失礼なのは十分承知なのだけれども、長期の「社会科見学」に行く気分かな。 僕は極度の負けず嫌いなので勿論必死に仕事はやるのだろうけれども、「商社」という仕事の内容にとりわけ魅力を感じたわけではないのは事実。   ****** けれども一方で、僕の関心は常に世界、特に途上国と繋がっていて、多分それはずっと変わらないんじゃないかと思う。特に今は「発展は人を幸せにしたのか」ということについてうだうだと悩んでいて、だからできるだけ自分の関心と近いところにいたい。 結局、外資コンサルで自らの市場価値を高め多くの収入を...

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イスラームへの理解

二年前、パレスチナ人たちと接点があった頃、イスラームの正しさに「科学」を利用しようとする姿勢にうんざりすることがよくあった。   よく話に出てきたのは、月面着陸を果たしたアームストロングの話だ。彼がムスリムになったのは「月から見た風景」がクルアーンに書かれていたものと同じだったからだと言う。 今回のバングラデシュ滞在では、同じ内容をバングラデシュ人の口から聞き、再びうんざりさせられた。彼らは、まだ「近代」社会を生きていて、ある意味ではダーウィニズムを批判するキリスト教原理主義者たちと、そうは変わらないのではないかとよく考える。     他によく聞く話として、「ヒジャブ」の話が挙げられる。 女性...

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体の不調

昨日から目がどうも痒かったのだが、今日朝起きると目が大きく腫れていた。「ものもらい」である。 二週間前もバングラデシュでものもらいになったのだが、またなってしまった。当分外出できなそうだ。   この一年ぐらい、体がどうもおかしい。 にきびが多くなってきて、肩こりがひどくなってきて、鼻のアレルギーがひどくなってきて、顎関節症になり・・・といった具合だ。  先週久しぶりに高校時代の友人と会ったのだけれども、彼は昨年肺に穴があいて緊急手術をしたらしい。 10年吸っていた煙草をやめたとのこと。ちなみに僕は7年前に煙草はやめたので、肺は大丈夫だと思うのだが。   一般的にはまだ若いはずなのだが、ちょっと...

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米系投資銀行の崩壊に関して、考えたこと

ちょっと前まで就活生であり米系投資銀行で働くことに一時期憧れていた僕にとって、昨今の米系投資銀行の崩壊はショックだった。 日本で最も優秀だとされている学生たちや、世界の名だたる大学でMBAを取得した若者たちのみが働くことを許されるそれらの組織が、邦銀や日系証券に飲み込まれていくのは、とても不思議だ。 「邦銀とか日系証券とかありえないよね~」と話していた一部のインベストバンカーたちは、今の状況をどんな風に感じているのかなと思う。(まぁ彼らは頭がいいので、再就職先には困らないだろうけれども)     こういった状況を見ていて、どんなに優秀な人々であっても社会構造=システムに抗うことはできないのでは...

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