自己実現なんていらない

 僕が見るニュースは、神保哲夫さん(実は大学の先輩でもある)のビデオニュース・ドットコム(http://www.videonews.com/)ぐらいなんだけれども、その先日の特集がおもしろかった。派遣労働でなんとか食いつなぐ現代の「貧困」者についての特集だ。    一度「貧困」に陥ってしまった結果、「自分自身からの排除」という現象が発生し、貧困に陥ってしまった自己に対する信頼が低下してしまう。それが、この「貧困」の大きな問題である。彼らが抱えている問題は、単に金銭的な貧困ではなく、自己嫌悪という精神的な問題なのだ。これに対して宮台が述べていたのは、「努力して成功した人も、努力して失敗した人も、...

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ミャンマーにて

8月15日ぐらいのことだったと思う。 僕はミャンマーの首都ヤンゴンにいて、帰国の便に乗るために、ゲストハウスの前でタクシーを拾った。   ゲストハウスの従業員に空港までのタクシー料金の目安を聞いていて(ミャンマーのタクシーは交渉制)、それは確か5000チャットだったと思うのだけれども、僕の前に止まったタクシーの運転手は、「7000チャットだ。」と答えた。 僕が「5000チャットのはずだ。」と反論すると、「今日からガソリンが値上げされたんだ。」と彼は答えた。 観光客だから騙されているのだと思い、「他のタクシードライバーに聞いてみるよ。」と僕は彼に言った。 僕の周りにはすでに何台かのタクシーが集ま...

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ドキュメンタリーについて

演劇を見た。 空間を、演技や音や踊りで、目いっぱいに表現していた。 こういうことが、やりたかった。     ドキュメンタリーを創ろうと思ったのは、別に「世界の貧困や紛争を伝えたい」とかそんな崇高な動機ではなかった。 国際関係論を学ぼうと思い大学に入ったものの、結局は文学や哲学、人類学など、「思想」を扱うものに興味がうつった。   人は何のためにこの社会で生きていて、何を求めていて、何を感じているのか。 社会とは何か、他者とは何か、自分とは何か。 うまく言葉にできない気持ちを表現しようと思ったら、いつのまにかドキュメンタリーにいきついた。 僕が思考を始めたのが、身近な他者を含む「世界」との関わり...

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夢に生きて、死ぬ

僕は高校のころ、本当に頭が悪かった(今以上に) テストの点数は基本的に一桁だった。選択肢の問題しか、正解できないのだ。   特に高二から高三にあがるときは、大変だった。成績が赤ばかりで、かなりの数の科目で追試やら補修やらを受けることになった。 数学の追試の前日、教師が僕に言った。 「追試は期末テストと同じ問題を出してやるから、暗記してこい。」 頑張って暗記したけれども、70点が関の山だった。 高校を卒業して大学受験の勉強をしてから、あの時の曲線のグラフが「微分積分」と呼ばれるものだと知った。     高校の頃から本当にお金がなかったので、バイトはかかせなかった。 ファーストフードの厨房、レスト...

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