年末は山谷に通っている。 実は、今私が住んでいる場所から自転車で10分のところにあるのだ。 山谷とは日雇い労働者が集まる、東京南千住近くの街だ。 一泊2000円程度の簡易宿泊所が立ち並び、アルコール依存症の中年男性たちが、ふらふらと歩く。 夜になると近くの商店街では、下りたシャッターの前にホームレスの男性たちが毛布を被って横になる。 少し離れた隅田川沿いにはブルーシートに覆われた「小屋」が並び、ホームレスたちの日常が営まれている。 先日は、ホームレスの方々の自立支援をしているNPOの活動に参加した。 隅田川沿いの「小屋」を一軒一軒訪ね、名前、年齢、収入、体調などを聞き歩く。 ...
...故郷、家族、アイデンティティー 「サイードから学ぶべきもの」
イブの夜は、エドワード・サイードの人生を追った映画「OUT OF PLACE」を見に、東中野にいた。 高校を卒業して進路に迷っていたころ、サイードの著作を読み、おこがましいのを承知で彼の人生を自分に重ね合わせていた。 パレスチナ問題に興味を持ったのも、文学批評家であり、思想家としてのサイードに触れたのがきっかけだった。 映画自体は少々冗長ではあったが、それでも見てよかったと思う。 とても苦しくなったのと同時に、温かい気持ちにもなれた。 サイードの知人であるプリンストン大学のマイケル・ウッドは、映画の中でサイードをこう評していた。 「エドワード・サイードは「故郷」についてときどき物欲...
...世界へのかかわり方
先週あるソーシャルベンチャーのパーティに参加して、自分の姿勢がいかに中途半端かを思い知らされた。 何かが「問題だ」と感じたら、そこから真摯に行動し続けること、そんな大切なことをこの一年間忘れていた気がした。 この三年間イスラエル・パレスチナの問題に関わり、アジア・中東を旅し、ルーマニアで働き、世界を見て感じてきた。 その中で何をすべきなのか、自分なりに問い続けたつもりだ。 今も、映画を撮り始めたり、写真を始めたり、NPOの理事をやったり、それなりに色々手は出している。 けれども、全てが中途半端なのだ。 そんな悩みをパーティで隣にいた後輩に愚痴っていたところ、 「今...
...「あなたは想像力が乏しすぎるし、自分の物差しでしか他人を計ろうとしない。」
「あなたは想像力が乏しすぎるし、自分の物差しでしか他人を計ろうとしない。」 昔付き合っていた子から別れ際にもらった手紙を思い出した。最近似たようなことを後輩から言われたからだ。 ルーマニアでの経験を経て、自分の存在の小ささを知ったはずなのに、未だに自分の考えを他者に押し付けようとしてしまう。 自分1人の感性なんて閉じたものだから、多くの人を受け入れた方が豊かになれるはずなのに、僕は未だに幼児的全能感と肥大化した自我の中にいる。...
過去と出会う
あるパーティでの二次会でのこと、酔っ払った弟が私の高校時代をおもしろおかしく、周りの人々に語り始めた。 小学校を卒業してから弟とは年に数回しか会っていない。 それなのに、全てを知っているかのように、でも事実誤認をたっぷり含みながら、私の過去を「笑い話」として語っていることには腹が立った。 私には語りたくない過去や乗り越え切れてない過去が多すぎるわけで、もっとデリカシーをもってほしいなと思った。 少なくとも、誰にも頼らずに1人で生きてきた12歳からの時間を、軽々しく他者の口から語られたくはなかった。 そのパーティには、私と同い年で地元も同じ女性がいて、地元や共通の知人の話に花...
...娼婦の子どもたち、一筋のひかり。
バングラデシュの娼婦街を訪ねたとき、現地のNGO(SSS)に案内を頼んだ。http://www.sssbangladesh.org/ 案内してくれたツヒヌルさんは、奨学金をもらいイギリスのエジンバラ大学で博士課程に通いながら、フィールドワークの一環としてSSSで働いている。 卒業後はそのままSSSのスタッフになるつもりだという。 私たちは彼から娼婦たちについての情報を伺うことができた。 「あそこで働く娼婦には三つのタイプがある。一つは、お金がなくて働きにきた女性たち。もう一つはあそこで生まれ12歳になるとそのまま娼婦になる女性たち。そして最後は、親戚や知人に騙され売られてくる女性たちだ。」...
...ある娼婦の物語り
去年カンボジアで少女売春の現場を見てしまってから、もっとこの問題を知りたいと思っていた。 http://yasudayusuke.spaces.live.com/blog/cns!14ECB3DBFA167A80!704.entry 今年春に初めてバングラデシュに降り立って、ダッカの売春宿に数日滞在してから、その思いは強くなっていた。 http://yasudayusuke.spaces.live.com/blog/cns!14ECB3DBFA167A80!1026.entry そして今回、僕と後輩はダッカから車で三時間の、バングラデシュ二番目の規模の売春宿街を訪れた。 現地につくと、ロー...
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