帰国した。旅の様子は改めてブログにアップしたいと考えている。
タイは純粋に楽しかった。ここで大学生やったら楽しいだろうなと思った。留学を検討中である。
一方カンボジアでは悩んだ。
まずシェリムアップ周辺に限定して経済構造の歪さについて書きたい。
ここでは現地の人間から聞き取りを進めた結果を書く。聞き取り調査なので、事実と異なる部分があるかもしれない。
まずシェリムアップ周辺が「観光に依存した地域」であることを確認する。
つまりアンコールワットがもたらす経済への恩恵は、その入場料(一日20ドル)収入にとどまらないのだ。ホテル、タクシー、土産店、ガイドなど、様々なところに雇用を創出する。
それが農村から都市への人口牽引力となる。
その結果、職業にヒエラルキーが生まれる。
農村から都市に出てきた若者がまず就く職業は、建設業。観光客向けのホテルやレストランの建設に従事する。
お金がある程度貯まるとバイクを買う。バイクタクシーの運転手になるためだ。
カンボジアは交通の法律なんて存在しないのか、一台の原付に3人乗りなど当たりまえだ。車は高額で買えないのか、車のタクシーはほとんど見ない。
バイクタクシーである程度お金を貯めると、今度はバイクの後ろに二列のシートをつける。シンデレラに出てきそうな馬車を思い浮かべると分かりやすいと思う。馬の代わりにバイクが人を運ぶのだ。
最も収入が多く、皆が目指すのは「ガイド」だ。特に日本人向けのガイドは収入も多く、だからタクシーの運転手などをしながら日本語・英語を覚え、ガイドを目指す。寺でも、語学の講座がありそこに通う人も多く、一、二年でマスターしていくらしい。語学が完璧に操れるようになり、旅行代理店の就職先でも見つかれば、月収100ドル以上の生活が待っている。多い人間だと一日20ドル(警察官の給料の一か月分)の収入を得るらしい。
以上確認したように、この地域の経済は一種のモノカルチャーだ。「観光」に依存しすぎている。これで需要と供給の関係が不均等にならなければそれは問題は少ないといえるかもしれない。しかし実際に労働力需要は供給よりも少なく、結果としてシェリムアップ周辺には物乞い、ストリートチルドレンの姿が数多く見られる。
カンボジアは自国で十分な食料がまかなえるだけの豊かな農業資源を持っている。だが都市への人口移動によって貧困が「創出」されてるのが、現状なのだ。
「中国語と英語を操れるのに、なぜこんな職業に就かなければいけないのか」
売春の斡旋人は言っていた。
この国には自己決定権がない。職業選択には構造上の要因が立ちはだかる。