再会

7月のことだった。1年ぶりにある女性にあった。
 
出会ったのは6年前、私が友人の高校の文化祭に行った時、彼女と一緒に文化祭に来てた子に声をかけられた。所謂、逆ナンというやつだ。それからも一年に数回飯を食うようになり、前回会ったのは昨年の5月。彼女が短大を卒業後アメリカの大学に編入する直前のことだ。
 
日本に一時帰国しているとのことで、メールがきた。そして会った。一段と美しくなってて、1年という年月を感じた。勿論昔からの友人だから特別な感情は持っていないわけだけど、純粋にキレイだなと思った。
 
 
喫茶店で話している時、彼女が電話で席を外した。その間私は暇だったので小熊英二著のある本を読み日本のナショナリズムについて考えていた。10分後彼女が戻ってきたので、私は本を鞄の中に入れた。すると「何の本を読んでるの?」彼女が聞いた。私は本を取り出した。
 
「私はこんな難しそうな本読めないなぁ。尊敬しちゃうよ。しかも本に線引いて読む人初めてみた~」
これが彼女から返ってきた反応だった。
 
私はそのとき何かを悟った。
私がいつも考えているようなこと、つまり近代成熟社会についてだったり、現代のナショナリズムだったり、そんなことは世の中のほとんどの人にとってはどうでもよいことなんだと。そんなことは、生きる上ではほとんど必要とされないことなんだと。そしてそんなことを考えている時間があったら、流行りの音楽やらテレビやらに詳しくなった方がきっと女の子にもモテるのだろうと。

3 Comments

  1. Kyono
    2005年9月23日

    ネットサーフィンをしていて偶然たどり着きました。>私がいつも考えているようなこと、つまり近代成熟社会についてだったり、現代のナショナリズムだったり、そんなことは世の中のほとんどの人にとってはどうでもよいことなんだと。その気持ちわかるなーと思い、思わず投稿。急速に進む意味不明なナショナリズムに恐怖を抱きながら久しぶりに再会した友人たちと話をすると恋や結婚や芸能。ちょっと、ちょっと!と思いながらも結構楽しんでいる私。でも帰り道、やっぱ空しいなぁと思ってしまうのです。もしかしたら「無関心」って一番恐くて、頭を腐らせるモンスターなのかもしれないですね。そのモンスターが一体どれほど日本にいることでしょう。しかし、こんなふうにしっかり考えて行動している若い方々がたくさんいるんだ!と知って嬉しくなりました。モンスターと共に歩く多くの人たちと今後も触れあって生きていきたいものですね。

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  2. yusuke
    2005年9月25日

    コメントありがとうございます!ホームページ拝見させて頂きました。イギリス留学中ですか~、羨ましい限りです。NGOやデモが盛んな様子から推測すると、イギリスの市民社会は日本よりも成熟してそうだなと感じてます。日本にいるときは是非私の団体にも遊びに来てくださいね。毎日細々と活動してますので。公共性を巡る議論の中で最も優れていると思うのが「小熊英二」の著作です。もしお読みでなければ是非一度お読み下さい。ちなみに私が代表をしている団体はsayaさんが講演会に行かれていた高橋哲哉氏も賛同人になってくださってます。

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  3. kanon
    2012年8月7日

    >私がいつも考えているようなこと、つまり近代成熟社会についてだったり、現代のナショナリズムだったり、そんなことは世の中のほとんどの人にとってはどうでもよいことなんだと。

    そんなことないと思う。ていうか、きっとあなたの周りにはそういうことを一生懸命考えている人が、集まっているはずでしょ。

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